Digital Gadget #97

■ 現実と仮想の橋渡し


コンピュータの利用によって便利になったものがある一方、 コンピュータの利用によって失われたものも存在します。

ゲーム機の進化とネットワークインフラの発達によって 各種オンラインゲームも広く浸透してきました。

人の生活を仮想空間内で模倣したゲーム The Sims (http://www.thesims.jp/thesims2/) や、 仮想空間内で経済活動さえもが営まれている Second Life (http://secondlife.com/) のように、 現実世界以上の広がりをもって仮想世界が進化してきています。

一昔前の Virtual Reality 流行とはまた違い、Second Life の中では 現実以上の活動が営まれています。 IT企業が現実世界と同時に Second Life 内プレスリリースを行ったり、 専業のニュースレポーターが活動していたりと、 確実に新たな潮流が生まれていることが実感されます。

ここではネットワーク上、コンピュータの中での出来事と、 実際の生活空間をつないだデバイスやアート作品などを紹介していきましょう。

■ 1 hour circle : 時計のようで時計でない

http://www.everlab.com/1hourcircle.html

1 hour circle は 1時間に 1回転して円弧を描くマシンです。 時計のようですが、実際にはこれだけで時間がよく解らないので、 時計とはいえません。 従来、概念でしかなかった「時」というものを 現実世界の目で見えるものとして表現するところが、この製品の特徴です。

■ AmbientClock :

http://ambientclock.com/

AmbientClock は Google Calendar と連動する現実の時計です。 自分の Google ID で登録した Google Calendar のイベント情報の内容が デジタルクロックに連動して表示されます。 何時から何時まで予定が詰まっているのか色分けされて把握することができます。 他にも同様のコンセプトで Ambient Umbrella (http://www.ambientdevices.com/cat/umbrella/ambientumbrella.pdf) という未来的な傘も計画されています。 今後 Web2.0 的サービスと連動したデバイスが増えてくることが予感されます。

■ Sketch Furniture

http://www.frontdesign.se/sketchfurniture/

Sketch Furniture は三次元空間で実物大でスケッチした家具を立体成型 するというアート作品です。 モーションキャプチャの技術を応用し、何もない空間に描いた 椅子や机などのデータを取得し、レーザによってプラスチック製の実物を自動成形します。 0.1mm 程度の精度でオブジェクトと成形できますが、 空間に描いている途中は全く何も見えないなかで、 家具を空想しながら描かなければなりません。

■ Wearable instrument shirt

http://www.scienceimage.csiro.au/mediarelease/air_guitar.html

Wearable instrument shirt はギターを弾いているふりをするだけで 実際にギターの音を鳴らすことができるウェアラブルデバイスです。 動作の原理は、袖の部分にあるモーションセンサーが腕の角度と動きを測定し、 それらの情報を無線でコンピュータに送信します。 コンピュータ側では取得したセンサー情報をギターの音にリアルタイムで 変換するというものです。 同じ仕組みでタンバリンを演奏できるシャツもあるそうです。

■ Like

http://www.like.com/

Like は以前、顔画像検索で紹介した Riya が行う、 商品検索サービスです。 商品の写真画像から、色合いや形のよく似た商品を 画像検索で探し出すことのできるサービスです。 さらにブランドを絞り込んで Amazon で購入といった実際の購買にまでつながる サービスです。 ハリウッド俳優や、有名ミュージシャン、スーパーモデルたちが 身につけているブランド品から、該当する商品やよく似た商品を 探し出すことができるのです。

■ E-reader

http://www.plasticlogic.com/lifeisflexible.php

E-reader は「ページをめくる」という動作によって、 ページ送りがなされる電子書籍リーダです。 デジタルデバイスになることによって、ボタンやタッチパネルで 平易に操作できるものを、従来通りのメタファーで操作するところが 最大の特徴です。

■ COLOUR BY NUMBERS

http://www.colourbynumbers.org/EN/infoDescription.html

COLOUR BY NUMBERS は携帯電話からのコントロールによって、 ビル(塔)の明かりを操作することのできる、アート作品です。 灯りの点灯・消灯だけでなく、灯りの色もコントロールできます。

■ Sun Jar

http://www.suck.uk.com/product.php?rangeID=50&showBar=0#

Sun Jar は昼間の間、光を蓄えておき、 夜になるとその蓄えた電力によって輝く瓶型の LED ライトです。 日中3時間ほど明るいところに置かれていれば、夜 5時間くらい光り続けるそうです。

■ 仮想と現実の境界


仮想(Virtual)という概念自体は相当昔からありました。 その一方、研究目的ではなく、ゲームやネットワークの世界での 現在の仮想現実の元となっている考え方はほとんどすべて Neal Stephenson の小説 "Snow Crash" に何らかの影響を受けています。 1992年に出版された Snow Crash が描く世界は ネットワークコミュニケーション、エージェント、アバターといった Virtual Reality よりも現実的な範囲を示す Metaverse という世界が描かれています。 仮想世界 Metaverse でのコミュニケーション、生活が生き生きと描かれています。

最近では三次元ゲームの中へ広告業界が進出してきたり、 現実と仮想の境界がだんだん曖昧になってきているのかもしれません。 きっと現実と仮想の橋渡しをする技術、デバイスがますます重要になってくることでしょう。



■ Digital Gadget This Month

■ Doorbell USB / JACOB JENSEN

http://www.jacob-jensen.com/

Doorbell USB 自らがノック音を発するドアベルです。 MIDI フォーマットで、ドアベル用のチャイム音を設定することができます。 未来のドアベルは着メロのように個人個人で違った音になるのかもしれません。

■ Mouseradio : スイッチのないラジオ

http://www.petracolor.de/mouse/mouse.html

Mouseradio はスイッチの無いラジオ製品です。 筐体そのものがスイッチになっており、傾けることによって ON/OFFの操作が可能です。 色からも形からも使い方が良くわかり、 ちょうどカチッとスイッチが入りそうな角度で作られているのが特徴です。



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