Digital Gadget #103

手持ちのデータを Web2.0 風に
データのソーシャルネットワーク(Many Eyes)


■ Many Eyes とは?

Many Eyes はソーシャルネットワーク的、データ可視化サービスです。 IBM Visual Comunication Lab のメンバーが開発したもので、 現在 IBM alphaWorks のサイトでサービスを提供しています。 (alphaWorks は β版の手前、α版のソフトウェアをいち早く開発者向けに公開しているサイトです)

Many Eyes
http://www.many-eyes.com

例えば表計算ソフト Excel から可視化したいデータ群をカット&ペーストし、 データのタイプ、可視化のタイプを選択するだけで、 簡単に様々な形式でビジュアライズしてくれます。

■ Browsing Visualizations

http://services.alphaworks.ibm.com/manyeyes/browse/visualizations

Many Eyes のサイトに登録されている数々のデータ可視化例

■ データからビジュアライズまでの流れ

Many Eyes のデータ可視化はとても手軽です。 データ解析の専門家で無くとも、Web ブラウザの使い方、表計算ソフトの基本的な 使い方をマスターしている人であれば、誰でも見栄えの良いビジュアライゼーション結果を 得ることができます。

●手順1:可視化したいデータを用意します。各カラムが数値・文字に分かれたシンプルな データを用意します。表計算ソフト Excel からデータ群をカット&ペーストするか、 もしくはタブで区切られた数値群を用意します。

●手順2:登録したデータを元に、どのビジュアライゼーション形式で可視化するか、選択します。 (後から変更・調整も可能です)

●手順3:選択した形式を元に、タイトルや、表示形式など細かい調整を行います。 (デフォルト設定でもある程度見栄えの良い可視化結果が得られます)

■ Many Eyes : Upload Data

http://services.alphaworks.ibm.com/manyeyes/uploaddata

データの登録例

Many Eyes の可視化結果の表示は Java Applet 形式で行われるため、 ブラウザに Java Plug-in 等の環境が準備されている必要があります。 Many Eyes で気に入った表現方法、表示形式が設定できたら Many Eyes のサイトに登録します。 登録したデータは、ブログからリンクしたり、タグ名でカテゴライズすることができます。

■ ビジュアライズタイプ

Many Eyes では大きく分類して 12種類のビジュアライズ形式が用意されています。 同じデータでも違った見方、分析を行うことができます。 またデータ形式に応じて最適な表現方法を選ぶことができます。

http://services.alphaworks.ibm.com/manyeyes/page/Visualization_Options.html

  • 地図形式
        
    • 世界地図   
    • 北米地図
  • 折れ線グラフ
        
    • 線グラフ   
    • スタックグラフ   
    • カテゴリー別スタックグラフ
  • 値比較グラフ
        
    • 線グラフ   
    • ブロックヒストグラム   
    • バブルチャート
  • プロットグラフ
        
    • ネットワークダイアグラム   
    • ポイントプロット
  • 領域比較グラフ
        
    • 円グラフ   
    • ツリーマップ   
    • 変化するツリーマップ
  • タグクラウド

↑ツリーマップの表示例

↑バブルチャートの表示例

↑ネットワークダイアグラムの表示例


■ データ表現のソーシャルネットワーク

Many Eyes にはデータの可視化の他にもう一つ大切な仕組みが用意されています。 それは、データそのもののソーシャルネットワーク、タグ分類の仕組みです。 現在 1000件を超える公式・非公式のデータを Many Eyes の一般ユーザが可視化した結果が 数多く登録されています。

Many Eyes に登録されているデータの表現から、様々な新たな事実をとらえることができます。

普通なら手間がかかりすぎてデータ解析しようとしないものも Many Eyes を用いると 新しい発見を得られ、単なるデータから新しい意味をとらえることが出来るのです。 Mixi や GREE などのソーシャルネットワークと同様に、似たデータから 似通ったデータを手繰っていき、研究や解析の幅を広げることができるのです。

あるイベントに参加した参加者の職種別タグクラウド

http://services.alphaworks.ibm.com/manyeyes/view/SGXXRFsOtha6NskSqzsgF2-

■ データ作成のコツ

Many Eyes 用のデータは簡単なもので、わざわざ特別に変換したりする必要はありません。 ただ、表計算ソフト上でちょっとだけ整形したり、扱うデータにコツのようなものがあります。

Data Format & Style
http://services.alphaworks.ibm.com/manyeyes/page/Data_Format.html

良い例:各カラムごとに文字か数値のみが記述されている
悪い例:一つのカラムに数値と単位が混在して記述されている

カラム表記の良い例と悪い例


悪い例:値の意味を示すタイトルが無い

悪い例:空白のカラムが存在する → 0(ゼロ)で埋めてください

悪い例:値を意味するタイトルが2段に分かれて書かれている

良い例:値を意味するタイトルが1段に集約されている

また、可視化する形式によっても必要とされるデータ形式が違う場合もあります。 トライ&エラーでデータを整形していくか、 すでに完成したビジュアライズ結果を参考に、元のデータ形式を確認するのが得策です。

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■ Many Eyes が見据える「多くの視点」

Many Eyes は直訳すると「多くの視点」です。 誰でもが手軽にデータを扱え、単なるグラフ作成より一歩進んだ「見える化」ができます。 ソーシャルネットワークは何も人と人のつながりばかりではありません。 データとデータ、同種類のデータを様々な角度から分析し、 見比べることによって、 新たな発見や新たな価値が生み出されていくのです。

あるデータに関心がある人は、似たようなデータにも関心を持つ。 あるデータを研究の素材として用いている人は、たぶん似たようなデータも欲しています。 ソーシャルネットワークの醍醐味が、データ可視化の世界にもやってきたのです。

Swivel のように。 Web 上でグラフを作れるサイトならすでにいくつか存在します。 Many Eyes が単なる表作成サイトに留まらないのは、そのソーシャルネットワーク機構にあります。 現在の Many Eyes はパブリックなサイトとして運用されており、 データの隠蔽性は確保されていません。 今後企業のイントラネット内で密かに、かつ大量のデータを扱うデータビジュアライゼーションも 盛んになってくるでしょう。それも専用のソフトを用いるのではなく、Many Eyes のような 平易な Web インタフェースによるものが台頭してくるハズです。

Google が価値のある Web ページを検索してくるように、 Many Eyes は価値のあるデータ、価値のある可視化情報を蓄積してゆくのです。

Web 上にある数々の数値の羅列から、Many Eyes を用いて 意味のある見え方を得ることができることに、少しずつですが気づいた人々が居ます。 データを中心に世界中のデータ解析に興味のあるユーザや専門の研究者がコメントし、 意見を交換し始めています。 今後、時系列に沿って蓄えられた膨大なデータから何か新しい発見があることでしょう。 [SD]



■ Digital Gadget This Month

■ USB 直結デジタルビデオカメラ : flip video / Pure Digital Technologies 社

http://www.theflip.com/

flip video は撮影したらすぐに USB接続したパソコンから YouTube などの 動画共有サイトにアップロードできる、ネットワーク親和性の高いビデオカメラです。 30分録画モデル(512MBメモリ)が$119.99, 60分モデル(1GBメモリ)が $149.99 です。 2倍までのデジタルズーム搭載、1.5インチ液晶搭載。単三電池で動作。MPEG4で録画されます。 撮影サイズは 640x480 の VGAサイズ、30fps で録画が可能です。 簡単な動画編集なら本体だけでも可能だそうです。 こういうビデオデバイスが浸透してくると、個人放送局や、ビデオブログ、ビデオキャストが ますます増えてくるかもしれませんね。

■ 人物カウント赤外線カメラ : eyebox2 / Xuuk社

http://www.xuuk.com/products.php

eyebox2 は街頭ポスターなどに設置して、その広告を見た人を数えるためのカメラデバイスです。 約10m 範囲内の人物を検知します(実際には 3〜4m 程度が良好な結果が得られるらしい)。 人間の目がこちらに向いているかどうかを検知することも可能です。 CMOS センサーと赤外線LED を備えています。 感知方法として赤外線を用いるので、ユーザに気づかれないことが特徴です。 (個人の特定は行えないのでプライバシーは守られる) 又、従来 2〜3万ドルしていたデバイスが 999ドルと安価になり、 より多方面で活用されることが予想されます。未来の街頭広告(ポスター)には全て このデバイスがついていて、視聴率がカウントされるのかもしれませんね。


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