Digital Gadget #109

tumblr. で広がる ReBlog という Web 文化


■ tumblr. とは? ReBlog とは?

tumblr (タンブラー)とは何でしょうか? 正確につづると "tumbler" で、コーヒーショップなどで自分用に コーヒーを入れてもらう「タンブラー」になります。 tumblr という Web ページ全部ではなく、一部の素材や言葉をクリップするというサービスが 緩やかに広がっています。 tumblr は写真共有サービス Flickr のようにわざと綴りを変更して、 検索エンジンで見つかりやすく、他の単語と区別できるよう tumblr となっています。

 tumblr.
 http://www.tumblr.com/dashboard

tumblr の クリップできる内容は、文字、画像、引用、リンク、チャットの会話、音声、動画です。 クリップしたい場所をマウスでドラッグ選択し、tumblr 専用の Bookmarklet で登録するだけというとても手軽な操作です。 乱暴な説明をしてしまうと、 tumblr は新聞や雑誌の切り抜きを集めたスクラップブックのようなモノです。

tumblr はファイル送信サービス Senduit の Davidville, Inc. がサービスを提供しているものです。 2007年3月に開始された、比較的新しいサービスです。

tumblr では自分専用のスクラップブックを持つ他に、 誰かがクリップしたものを見て、そのまますぐに自分の tumblr へ転載することができます。 これが tumblr の特徴でもあり、醍醐味でもあります。 この行為は ReBlog, Tumblelog などと呼ばれています。

写真がこれだけ普及したのは、撮影するときに許可を取らずとも 手軽に撮影が可能なことにあると言われています(肖像権や撮影不可の場所もありますが)。 tumblr は Web の世界に写真撮影のような手軽さをもたらしてくれます。

tumblr では 元ネタ、出典が解らなくなるくらい、情報が伝達されていきます。 ダイレクトにつながっていく情報、データのやりとりでは無く、 どこかを経由した情報・データの流れが延々と広がっていくのです。

tumblr はシンプルなのに不思議な魅力がある、 個人個人が緩やかに繋がりながら自身の好みを伝えていくメディアです。

■ ReBlog, Microblog の台頭

もともと Blog は "Web Log" に由来しています。 その後、web log を書く行為を "We Blog" と分割して呼ぶようになりました。 "ReBlog" は「再 Blog」という意味あいを持ちます。 当人が面白いと思った友人や他のブログを再度自身の blog に記述することによって 情報がより広がっていくのです。 blog 自身も個人の日記のようなものから、他の blog の面白いもの 興味深いものを紹介するものも多く、ブログも元々 ReBlog 的要素を持って いたと言ってもよいでしょう。

また Twitter やメッセンジャーの浸透により、 ごくごく短い文章を頻繁に更新する Microblog も一つのジャンルとして 確立してきています。 Microblog の醍醐味は即時性が高く、オンタイムで様々な情報が 流れていくところにあります。

今後、個人が運営するニュースサイトや、情報サイトは Tumblr 的なものを利用するものが増えてくるのではないだろうかと予想されます。 素材や情報源としは、「即時性」、「連想」や「思いつき」を喚起されるものとして重要視されます。 Tumblr の活用には物書きとしての文筆業よりも、雑誌などの編集者としての 役割が重要となってくるでしょう。 小さい情報、情報それ自身も粒度が小さく、更新頻度が高いもの。

ReBlog サービスは、自身のブックマーク的に使う人もいれば、 知人・友人らの tumblr を Dashborad で束ねて使う人もいます。 従来の Blog と似ていながら、その利点や特徴を大きく強調したものが ReBlog なのです。

■ ReBlog 的サービス


●FFFFOUND!

http://ffffound.com/

デザインの美しいものや、美しい写真など、画像に限った ReBlog システム。

●deviantART

http://www.deviantart.com/

様々なジャンルのアーティスト向けのコミュニティ。膨大な作品が投稿されている

●soup.io

http://www.soup.io/

ReBlog サービス。tumblr など他のサービスからの丸ごと移行ツールが用意されている。

●hellotxt

http://hellotxt.com/

メッセージを入力すると、連携するいくつかのサービスに対して一斉に投稿できるツール。

●Pownce

http://pownce.com/

友人とメッセージ、イベント情報、リンク情報などを共有できるサービス。

●Meemi

http://www.meemi.com/

Tumblr のようなクリップと Twitter への投稿が連動するサービス。

●RePhoto

http://rephoto.jpn.org/

Tumblr に投稿された画像の中から人気の高いものをまとめてチェックすることのできるサービス。

●imified

http://www.imified.com/

対応しているサービス群が更新されたら、メッセンジャーで知らせてくれるサービス。

●Jaiku

http://jaiku.com/

自身が登録している写真共有サービスのフィードを取り込むことのできるショートブログサービス。 最近 Google に買収されました。

●gelato CMS

http://gelatocms.com/index.htm

Tumblr のようなサービスを構築できる Ajax+PHP+MySQLベースのオープンソースパッケージ。

■ ReBlog の良さは時の流れを感じられるところ

現在ブログはタレントから、一般の人にまで、日記のような 手軽に参加できるサービスとして広がってきています。 ブログはあるその時のイベント性や考えなど、時間を切り取った感じがします。 その一方、チャットはリアルタイム性があり、メールなどは非同期ながらも密な コミュニケーションツールとして使われています。

tumblr をはじめとする ReBlog は緩やかな時間の流れを表現・再現するものとして存在しています。 動画データの配信のようなデータストリームが高速に転送されるのとは違い、 とても緩やかに、画像や文字の情報が流れているように感じられるのです。

一方、tumblr では興味のある素材や話題に出会っても、 その原典や作者・筆者を見つけることが困難な場合があります。 それは、コピーのコピー、引用の引用が広がり、原典が隠蔽されてしまう 仕組みの弊害でもあります。

ハイパーリンク Xanadu を提唱したテッド・ネルソンが提唱していた概念には Transcopyright というオリジナルとコピーの扱いがはっきりしていました。 しかし Tumblr は「原典」がどこにあるのかさえ曖昧な仕組みです。 どこが主体なのか解らなくなる良さと、主体の無さ、集合の危うさを抱えている とも言えます。

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昨今ではライフログと呼ばれる、どこに行って何をしたかなど 個人情報の蓄積と活用が研究されています。ライフログでは 位置情報を含めた様々な種類の大量のデータを 収集・蓄積していくことが考えられています。

ReBlog は単に情報の入力、データとしての個人ではありません。 何に心が動かされたのか、何を楽しみ、何を美しく思い、 覚えておきたいと思ったのか。 自分の心の動きを忘れないために保存しておくログなのかもしれません。[SD]



■ Digital Gadget This Month

■ Amazon Kindle / $399

http://www.amazon.com/dp/B000FI73MA

Amazon Kindle は Amazon がサービスを提供する電子ブックリーダです。 6inch 800x600 pixel 電子ペーパー表示装置, 256MBメモリ, スクロールホイール、キーボード、USB. SDカードスロットを備え、ちょっとした PDA やノートパソコンなみの性能です。 また、Kindle には携帯電話網のサービスも含まれ、 電子書籍の購入がほぼ何時でも何処でも出来るのが最大の特徴です。 電子書籍一冊は $9.99 で販売され、約 1分でダウンロードできるそうです。 音楽コンテンツに比べデータ量が小さく、利用時間も長いのが書籍です。 一見不思議な形状をしているデバイスですが、持ちやすく、 長時間の読書にも適しているそうです。日本上陸が期待されます。

■ BUG

http://buglabs.net/

BUG はユニットタイプの実験用モバイルデバイスです。 ソフトウェアアプリケーションに必要な要素、ユニットを組み合わせて 一つとして動作する携帯端末を構築することができます。 ユニットとして当初用意されているのは GPS, デジカメ(デジカム)、液晶ディスプレイ(タッチスクリーン) 加速度センサー、モーションセンサー、キーボード、スピーカーです。 Java プログラムが動作し、携帯電話の試作機、 量産前のプロトタイプ開発など、様々な用途に応用できそうなデバイスです。



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