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Digital Gadget #112

少しだけ未来の広告


■ 今の広告と未来の広告

昨今のインターネット広告の成長は広告業界の中でもめざましいものです。 テレビ CM を見ていると「続きは Web で」という連動広告も 頻繁に見かけるようになりました。 先日、広告代理店の調査で、2007年のインターネット広告の費用の総額が、 雑誌広告の費用を抜き去ったとの報告がありました。

インターネット上のニュースサイト、ポータルサイトや、SNSを利用すると、 バナー広告は必ず目に入りますし、 様々な Web ページに埋め込まれた AdWords 広告にも目がいくことでしょう。

街中の巨大な看板や、電車の中のつり広告など、世の中は広告に溢れています。 最近では、新聞、テレビ、ラジオ、雑誌といったメディアだけではなく、 三次元ゲームで描かれる世界の中にまで、広告が出現するようになってきました。 また広告を見せるアイデアや技術も進化を遂げ、 最近発表された Google のビデオ広告(AdSense for video) では、 Web サイトに掲載した動画の内容にあわせた広告が表示されます。 専用の広告フォーマットである InVideo 方式を用い、 動画映像下にロゴが入ったり、URLリンク先が表示されたりします。

 ● Video Advertising Solutions
 http://www.google.com/ads/videoadsolutions/

インターネット、Web の進化にともない、 広告それ自身の仕組みやシステム、掲載場所など、 様々な方面へ広がりを持っていることは確かです。 ここでは、従来のアプローチでいうところの「広告」とはちょっと違った アイデアや、仕組みが先進的な「新しい広告」の数々を紹介しましょう。


■ 新しい広告のかたち

■ PERSONIVA / 自分の顔で広告

http://www.personiva.com/

PERSONIVA は動画や静止画の広告素材に自分の顔が使えるサービスです。 派手な動きや滑稽な動きをする広告の中の俳優の顔が広告主自身の顔に 差し替えることができます。日本向けのサービスにも意欲的なようです。

■ Chikika / ブログ活用広告

http://www.chitika.com/

ブログネットワークを企業が広告媒体として使えるサービス。 著名ブログに広告領域を確保し、広告スペースとして それらをまとめて企業広告の領域として提供します。 流行や、口コミを促進する方法としてこれから広まってくるでしょう。

■ Get Interactive / 動画内インタラクティブ広告

http://www.getinteractive.tv/

ビデオ映像内に広告へのリンクを埋め込み、喚起し、 ビデオ映像に映っている商品を広告するための仕組み。 ゲーム内広告にも技術が応用されているようです。

■ dMarc Broadcasting : ラジオ向け広告

http://www.dmarc.net/

ラジオ広告のためのスケジューリング、配信、レポートの仕組み。 2006年に Google に買収された。 単に音の広告ということだけではなく、広告主とラジオ放送のCM枠を 密接に繋いで効率化した仕組みが展開されている。

■ Clickriver / 検索結果広告

http://www.clickriver.com/

Clickriver は 米国 Amazon.com の検索技術 A9 内で利用されている検索キーワード連動型広告です。 オンラインショッピング用のサイトでは、そもそもの目的が購買のため、 広告と親和性が高いこともポイントの一つです。共食い的サービスとも言えます。

■ ADCANDY / ユーザ制作広告

http://www.adcandy.com/

自分の好きな商品を売り出すための、ユーザ主導型の広告サイトです。 好きな商品のキャッチコピーを考えたり、画像を提供したり、 広告の CGM(Consumer Generated Media) とも言えるものです。 今後一般のユーザからプロ顔負けの広告を 生み出す人が出てくるかもしれませんね。

■ ctxbay / オークションに特化した広告

http://www.ctxbay.com/

ctxbay は AdSense 広告の eBay(オークション)専用と言えるものです。 文脈を解析して適切な広告を出稿するシステムはいくつかありますが、 ctxbay のように、ある特定分野、特定領域に特化した広告の仕組みは 今後ますます増えてくることでしょう。

■ REVVER / 個人投稿動画の広告

http://www.revver.com/

REVVER では、個人投稿の動画像に広告が付加されます。 その広告がクリックされると、動画の制作者に広告料が入る仕組みです。 人気のある動画(ビデオクリップコンテンツ)であれば、多くの広告料も期待できる仕組みです。


■ 広告の新しい領域

■ AdCamo / Web ページ背景画像広告

http://www.adcamo.com/

AdCamo は Web ページの背景画像を広告のための領域として活用するサービスです。 背景広告自身は存在しますが、AdCamo の特徴は、広告ネットワークであることです。

■ Scribd / 文章に広告

http://www.scribd.com/ipaper

Scribd は PDF やワードなどのドキュメントを共有するための Web サービスです。 軽量、高速で動作する専用の文書ビューア iPaper が使えます。 Scribd iPaper では Webページに AdSense 広告が載るのと同様に、 ドキュメントのページとページの間に AdSense が載るようになります。 有益なドキュメントやアクセス数の多い文章ほど広告収入が得られるようになります。

■ PredictAd / 検索フォームに広告

http://www.predictad.com/

PredictAd は検索フォームのキーワード補完機能へ表示される広告です。 どんな隙間にもどんな操作にも広告が入り込む余地があることを 再認識させてくれます。探したいものと欲しいものを繋げる役目をする広告です。

■ BritePic / 画像の上に広告

http://www.britepic.com/

BritePic は Web上に載せる様々な画像に、広告情報を付加できる仕組みです。 画像の上にロゴを入れたり、メニューを追加したりすることができます。 普通の画像が、素材として広告になる例です。

■ AdBrite / 広告掲載領域の販売

http://www.adbrite.com/

AdBrite が広告を載せることのできる領域を販売する マーケットプレイスです。街の看板広告が「広告募集」と売りに出されているのに 似ています。Webサイトの持ち主が直接広告主を探さなくても良いのが特徴です。

■ Million Penny Homepage / Web 画面の領域広告

http://www.millionpennyhomepage.com/

Million Penny Homepage は Webページ 1ページのピクセル一つ一つを 広告の領域として販売しているサイトです。ライバルの広告よりも 大きな広告を載せたい広告主はそれだけ多くのピクセルを購入しなければなりません。


■ さまざまなインターネット広告のアプローチ

■ The Ad Generator / 広告自動生成サイト

http://www.theadgenerator.org/

洒落たコピー文を自動生成してくれるサイト

■ CoolSign / ネットとリアルを繋げる広告

http://www.coolsign.com/

街中の電子掲示板をインターネットでコントロールする仕組み

■ Seen On TV / テレビと現実を繋げる広告

http://www.seenontv.com/

テレビCMで紹介されていた商品を購入できるサイト

■ adflip / 雑誌とネットを繋ぐ広告

http://www.adflip.com/

雑誌広告で紹介されている商品を集めたサイト

■ Viddler / テロップ広告

http://www.viddler.com/

投稿ビデオの印の付いた部分に広告テロップを流すことのできる仕組み

■ ScanScout / ビデオ内広告

http://www.scanscout.com/

ビデオの内容を解析して、コンテンツに連動した広告をビデオ内に載せる仕組み

■ VideoEgg / ビデオオーバーレイ広告

http://www.videoegg.com/

動画広告にマウスを載せたかどうかで視聴率を計る仕組み

■ Adap.tv / 小規模広告主向けビデオ広告

http://adap.tv/

他のテキスト広告システムの出稿データを再利用してビデオ広告とする仕組み

■ AdReady / 小規模広告主向けバナー広告

http://www.adready.com/

テンプレートから選択することによって容易に広告が用意できる仕組み

■ Oodle / パーソナライズ広告検索

http://www.oodle.com/

広告の検索システム。いわゆる三行広告から欲しい広告を探し出し、知らせてもらえるサイト

■ Tremor Media / ビデオ広告ネットワーク

http://www.tremormedia.com/

ビデオ広告出稿者向けのツール・システム。ストリーム形式の動画広告も考えられている

■ AirClic / 一歩進んだバーコード広告

http://www.airclic.com/

バーコードに対応した広告をユーザによってコントロールできる広告システム

■ Spot Runner / 広告生成・放送枠指定サービス

http://www.spotrunner.com/

オンラインで TVCM を作り、放映枠を設定できる広告サービス。主にケーブルテレビ用

■ booBox / 広告ウィジェット

http://booboxland.com/#testdemo

Web ウィジェット部品を広告専用として使う仕組み。ブログに埋め込んで使うことができる。 他にも広告ウィジェットとしては
ShoppingAds (http://shoppingads.com/)
Tumri (http://www.tumri.com/) などがある。

■ Snap Shots Ad Network / スナップショット広告ネットワーク

http://www.snap.com/

Webページのリンク先のスナップショットを確認するツールを活用した広告の仕組み

■ Rubicon Project / 広告出稿ネットワーク

http://www.rubiconproject.com/

複数のインターネット広告へ出稿する広告を平易にコントロールするシステム

■ Adroll / ソーシャル広告ネットワーク

http://www.adroll.com/

ソーシャルネットワークを活用した広告出稿の集まり。ある特定分野の広告掲載場所を束ねて扱える

■ AdPinions / 広告に投票

http://adpinion.com/

ユーザが好みの広告に対して投票できる仕組み。見たい種類の広告だけが出現するようになる

■ Pheedo / RSS広告配信

http://pheedo.com/

ブログやニュースなどで活用されている RSS フィードの中に広告掲載する仕組み

■ TechMeme / RSS広告受信システム

http://www.techmeme.com/

Webに載せる広告情報の更新・配信・通知のために RSSの仕組みを活用した広告システム

■ Tailgate / Web2.0 的バナー広告

http://www.gettailgate.com/

バナー広告上で、購入・決済までが可能な広告の仕組み。他のオンラインショップに移動しないことが特徴

■ ViTrue / ユーザ制作広告

http://www.vitrue.com/

ブランドプロモーションのための広告を一般ユーザが制作するのを支援するサイト

■ Pubmatic / 広告最適化エンジン

http://pubmatic.com/

広告枠の違いによって、最適な広告を配置することができるシステム。アクセス数の多いサイトほど有効

■ OpenX (Openads) オープンソースの広告出稿システム

http://www.openx.org/

オープンソースの広告専用サーバ、自身で広告出稿システムもコントロールしたいサイトに好まれている


■ 広告の未来はどう変わっていくのか

バーコードの中に広告があったり、手にしたボールペンに広告が載っていたり、 普段から気をつけて色々なものを見ていると、 様々なモノが「広告」として成立することに気付くと思います。

近未来を描いた SF映画「マイノリティリポート」では、 目の網膜(虹彩認証)により個人を特定し、 パーソナライズした広告が流れる、未来の広告が描かれています。 壁面に映し出されたインタラクティブ・コマーシャルが 逃亡中の主人公に対して、

「ジョン・アンダートンさん、こんな時こそギネスをどうぞ」
と流れるのです。 映画の中では14本の現実の商品の広告が用意されており、 どれもが現代でもよく知られているブランドばかりです。

メールやブログの広まりによって、 バイラル広告(口コミ)が重要視されるようになってきました。 果たして極限までパーソナライズを推し進めた広告は 求められる広告なのでしょうか? Webページの広告効果の指標として 視覚認知による構造解析も研究が進んでいます。 どんなに未来になっても、 広告は無くならないでしょう。ただその形態や方式は 大きく形を変えていることでしょう。

広告らしい広告、広告らしくない広告、 未来の広告手法は、現在では想像もつかない領域に進出しているのかもしれません。



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