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Digital Gadget #114

少しだけ未来のインタフェース


■ 少しだけ未来のインタフェース

近未来の犯罪予測を描いた「マイノリティリポート」という映画がありました。 その中でトム・クルーズ演じる主人公のジョン・アンダートンが巨大なスクリーンを目の前に、両腕を縦横無尽に扱って 操作する未来的なインタフェースが登場していました。

最近ではマルチタッチインタフェースや、赤外線センサーによる未来的なインタフェースなど、 様々な場面で、マイノリティリポートが引き合いに出されるようになってきました。

一方、ユーザビリティの大家 Jakob Nielsen 博士は 自身のコラム記事

 「it's very tiring to keep your arms in the air while using a computer.
 (コンピュータを使っている最中、腕を持ち上げているのは疲れるのだ。)」

と述べています。長時間使うコンピュータとしては、よくよく考えてみるとそのとおりです。 Wii などのゲームコントローラーやインタラクティブアートは動き自体を楽しむのでまた別ですが、 よく使う道具は『最小限の力と手間で使えること』が重要なのです。

また、一般には説明書が無くても使い方が分かりやすいユーザインタフェースが歓迎されますが、そればかりではありません。 実際のところ、使い慣れていくにつれて、素早く使えたり、 多少コツを覚えることによって効率良く使えるインタフェースも重宝されます。


■ Zooming インタフェース

多くの情報を一覧し、階層化された情報を探っていく場合、 「ズーム(拡大)」を利用したユーザーインタフェースが便利に使われます。

■ Zumobi

http://www.zumobi.com/

Zumobi は元 ZenZui と呼ばれていたもので、Microsoft Research からスピンアウトした会社です。 主に画面の小さいモバイル端末用で選択しやすいよう考えられたユーザーインタフェースです。 タイル状に並んだアイコンを選択して利用する。 画面の大きさや、キーボード、タッチスクリーンなどデバイスに関係無く利用できるのが特徴です。

■ Grokker

http://grokker.com/

Grokker がグラフィカルなズーミングインタフェースをもった検索ツールです。 検索カテゴリごとにまとめられた円状のマップをもとに、情報の深いところを探索していくことができます。 検索語の関係性や、数の多さ・少なさを視覚で把握しながら情報を検索できるのが特徴です。

■ Seadragon

http://labs.live.com/Seadragon.aspx

Microsoft Live Labs で開発されている Seadragon は広い画面の中に数多くのドキュメントや写真を 表示することができます。 表示されるドキュメントや写真は的確な解像度でシームレスに拡大縮小されます。 それらの元になっている素材は数十億画素が扱われています。 画面の中の固定されたサイズの画像ではなく、 興味を持ったものに関してはズームして詳細を見ることができるのです。 今後無限にズーム表示できる広告なども登場することでしょう。 Seadragon の実装サンプルが HardRock Cafe のサイトで見ることができます。 (http://memorabilia.hardrock.com/)


■ iTunes 風インタフェース

沢山の素材やファイル群からいくつかの条件で絞り込んで目的のものを見つけようとする場合、 Apple iTunes のような階層化された操作が便利に利用できます。

■ Linotype FontExplorer X

http://www.linotype.com/fontexplorerX

fontexplorerX はフォントファイルを整理、選択するためのツールで、iTunes と良く似たインタフェースを持ちます。 種別ごとに絞り込んだり、名前をキーに探し出すことができます。 また、フォントファイルを販売しているショッピングサイトからオンラインで購入することも可能です。

■ songbirdnest

http://www.songbirdnest.com/

iTunes とよく似たインタフェースに加えて、 関連キーワードを文字の大きさで表現するタグクラウド表示など、 機能拡張されたメディアファイルブラウザ。 ミックステープを作る拡張機能や、オンライン辞書Wikipediaと連携する拡張機能が用意されています。 広く一般に使われているユーザインタフェースの場合、 慣れたインタフェースで、違和感無く使えるというのも重要な要素です。


■ Multi Touch インタフェース

iPhone, iPod touch の登場以来、マルチタッチインタフェースが広まってきました。 日本では銀行ATMや切符の購入などにタッチインタフェースが使われていることが多く、 マルチタッチインタフェースに関しても違和感なくスムーズに使えていることでしょう。 デバイスの進化とともに、感覚的に使えるマルチタッチインタフェースは広まってくると思われます。 Multi-Touch Technology の研究分野では Jeff Han 氏 (http://cs.nyu.edu/~jhan/ftirtouch/) が良く知られています。

■ Perceptive Pixel

http://www.perceptivepixel.com/

Jeff Han 氏がスピンアウトして設立した会社。 現在はデモリールしか公開されていないが、商用化、製品化に向けて開発が進んでいると思われる。

■ Natural User Interface

http://www.naturalui.eu/

Multi-Touch で扱えるテーブル型の表示装置を扱う会社。 応用例としてバーチャルキーボードや、多数の動画ファイルを扱うツールや、ゲームなどが開発されている。


■ CoverFlow 風インタフェース

CD ジャケットの絵柄を並べて見ることのできる CoverFlow は、もともと単体のアプリケーションツールでした。 その後、iTunes 本体にも機能追加され、iPod の中でも CoverFlow が見られるようになりました。 MacOS X Leopard ではファイルブラウザ自身が CoverFlow の機能を持ち、 CD ジャケットをブラウズするように、文章や写真ファイルをブラウズできます。

■ searchme

http://www.searchme.com/

Webページの検索結果がスクリーンショットで表示され、 iTunes で CDジャケットをブラウズする感覚で Webページを探し出すことができる。 特に一度見たことのあるページの場合、レイアウトや色合いで記憶していることが多いので、効果がある。

■ Coverflow for People

http://factoryjoe.com/blog/2007/11/06/coverflow-for-people/

Coverflow for People はまだコンセプトアイデアの段階で実際に実現されているものではありません。 Web2.0 サービス専用ブラウザとして広まりつつある Flock の拡張機能として、 友達や知人を包括して見ることのできるインタフェースが考えられているようです。


■ その他いろいろなインタフェース

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■ BumpTop

http://bumptop.com/

もともとコンピュータのデスクトップは「机の上」を模倣したものと言われています。 BumpTop は極端なまでに机を模倣した ユーザインタフェースです。書類が積み重なる様子や、机が狭くなることまでが再現されています。

■ Humanized Enso

http://www.humanized.com/

一方、グラフィカルなユーザーインタフェースではなく、キーボード、コマンドで 素早く使えることに注力したツールも存在します。

■ FacetZoom

http://advancingusability.wordpress.com/2008/03/31/facetzoom-first-open-source-release/

ボタンやメニュー、スクロールバーなど使いなれた部品もいいですが、 ある特定の目的に最適化した新しい使い心地のインタフェース部品も便利なものです。 FacetZoom は階層化された複数の事項を見渡したり、探したりすることが便利なインタフェースです。 カレンダーなどの時系列情報を小さなスペースで表すのに、とても適しています。

■ thirteen23

http://www.thirteen23.com/experiences/desktop/

thirteen23 は「Desktop 2.0」とのうたい文句で今のコンピュータデスクトップ環境を、 より便利に使いやすくすることを考えたメディアリッチなユーザーインタフェース群です。 未来の家電機器にも通じる、カラフルでイメージの伝わりやすいデザインが特徴です。


■ 理想的なユーザインタフェースとは

近年ますますコンピューティングパワーが増大するとともに、 用途も多様化し、コンピュータの使い方も 単なる計算から複雑な用途にまで活用されるようになってきました。 用途が複雑化する一方、 多くの人々がごく普通にコンピュータを使うようになりました。 専門家で無くとも簡単に使えるユーザーインタフェースが日々求められているのも確かです。 また iPhone, iPod touch の登場で、目を見張るようなインタフェースも注目を浴びています。 一方、携帯電話などの場合、必ずしも目新しいユーザインタフェースではなく、 使い慣れたユーザインタフェースが好まれる傾向もあります。

使いやすいユーザーインタフェースを設計する手法として、 「ペーパープロトタイピング」が活用されます。 ペーパープロトタイピングでは「紙」を使ってユーザーインタフェースを試作しながら設計とテストを繰り返します。 短期間で手軽に作れることと、低コストで制作が可能な割に、的確な評価が可能な手法です。

理想的なユーザーインタフェースはどんなものでしょうか? 人間の認識限界、操作の限界ではなく、 コンピュータ側の制約でユーザーインタフェースに限界が生じている場合もあります。 また必ずしも人間が操作するユーザーインタフェースではなく、 コンピュータプログラムが動かすためのインタフェースも大切です。 例えば、外部コントロールのための API が用意されており、 ユーザーインタフェースが無いものこそ最適なインタフェースである特殊な例もあるでしょう。 さらに触ったり、操作すること自身が心地よいインタフェースもあるかもしれません。 コンピュータの進化とともに、ユーザーインタフェースもますます進化していくことでしょう。



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